退職3日前に突然体調不良になり入院しました。しばらく入院し治療を続けることになりますが、傷病手当金の申請はできますか。
残念ながらこの場合は、退職後の傷病手当金 (継続給付) は受給できません。
退職後の傷病手当金 (継続給付) は、以下の要件を満たすときに受給できます。
① | 業務外の病気やけがで療養中であること(健康保険の給付対象とならない治療のための療養は除く)。 |
② | 療養のため、労務不能であること (医師の証明が必要)。 |
③ | 連続した3日間の待期期間を満たし、4日目に在職していること。 |
④ | 1年以上健康保険の被保険者として勤務していること。 |
このケースでは③の要件を満たしていません。
傷病手当金は「業務外の事由による病気やケガの療養のため仕事を休んだ日から連続して3日間(待期)の後、4日目以降の仕事に就けなかった日に対して支給される。」となっています。
仕事に就けなかった日というのは在職して健康保険の資格はあるが病気等の療養のため仕事に就けなかった日ということになるので、この方は4日目に資格喪失になってしまうため、傷病手当金は受けられないのです。
ちょっとややこしいのですが、これが退職日の4日前だと(連続して3日間の待期がある場合)傷病手当金を受給できます。
なぜなら、資格喪失をする「前日」である退職日に、まだ会社に在籍していることで「この日は」傷病手当金を受給できる条件を満たしているからです。そうなると翌日からも、退職はしているけれども傷病手当金を継続して受給できるということになるのです。
もちろん、④の1年以上の被保険者期間(任意継続の被保険者期間を除く)がないと受給できません。
3日間の待期期間を詳しく説明すると、有給休暇、土日・祝日等の公休日も含まれるため、給与の支払いがあったかどうかは関係ありませんが、「3日連続している」必要があります。1日でも出勤してしまうと、また再度1から3日間連続の休日が必要になります。
(参考)業務上の場合は、傷病手当金ではなくて「休業(補償)給付」が支給されますが比較してみましょう。
業務外(健康保険) | 業務上(労災保険) | |
傷病手当金 | 休業(補償)給付 | |
①待期期間 | 連続3日間(4日目在籍) | 3日間(在籍必要なし) |
②支給期間 | 1年半 | 傷病が治癒するまで |
③日額 | 1日あたり賃金の約7割* | 1日あたり賃金の約8割** |
③は正確には*【支給開始日の以前12ヵ月間の各標準報酬月額を平均した額】÷30日×(2/3)
**給付基礎日額(平均賃金)×0.8
給付基礎日額 ⇒ 事故が発生した日(賃金締切日が定められているときは、その直前の賃金締切日)の直前3か月間にその労働者に対して支払われた金額の総額を、その期間の歴日数で割った、一日当たりの賃金額
となるので、表の③はだいたいこんな感じという表現です。
いずれにせよ、①から③まで、業務上つまり労災の給付の方が優れています。これは療養、障害、遺族への給付、埋葬に関する給付等に関しても同様です。業務上の方が給付は高いですね。